ホンモノのアイドル

んで、上記リストにも挙がっていた南野陽子さんの話を。
好き嫌いは分かれるし、自分も一人のタレントとしては微妙なんだけど(^^;、彼女の曲は大好きだった。


なによりアルバムの作りこみも素晴らしいし、シングルはシングルで佳作揃い。
バラエティに富んだ曲調なのに統一感があり、聴く側に「あぁナンノちゃんだ…」という安心感を与える。
ご存知のとおり彼女は根本的に歌は下手である。作曲する人、アレンジする人、相当な苦労を強いられたはず。
でもそんなことは関係なく、皆、南野陽子というブランドの魅力を最大限に引き出す努力を惜しんでない。
萩田光雄氏とCBSソニーのスタッフが本気で頑張っていたのだろう。ファンの一人として本当に感謝したい。


かつては聖子ちゃんもそうだった。
数々の名曲も多くの優秀なスタッフが本気で頑張ったからこそ生まれたのだろう。
トップアイドルだから、大御所の作品だから、もしかしたら駄作でも売れたかもしれない。
でも彼らは決してそんなことはしなかった。音楽でそのアイドルのイメージを作るんだ!! より輝かせるんだ!!
当時はただただ受け止めるのに精一杯だったが、今になって聴き返すとそんな気迫がヒシヒシと感じられる。
「えー松田聖子???」と眉をひそめるあなた、偏見を捨てて「BIBLE」を聴いてみてください。話はそこから。


ま、そんなビッグな人を引き合いに出さなくても、当時のアイドルたちは皆大事に戦略を練られてきた。
アイドルが本気で「歌」や「曲」で勝負していた。しかも、いいものはいいと正当に評価されていた良き時代。


さて、ここ10数年、そこまで本気で売り出されているアイドルはいただろうか?
あるいは、売り出す価値のあったアイドル、でもいい。いなかった、というのが正解だろう。
80年代後半デビューな人たちが最後かな。平成になってからは本当にいない。
バンド系だアーティスト系だ、と違う切り口に流れていったのもあるだろうけど…。
育てるべきアイドルも育てるプロデューサやレコード会社も不在だった。
あ、良くも悪くも90年代は小室さんの時代だったっけ(多くは語らないけど…)。


で、やっと出てきたのが松浦(とつんく氏)だと思う。平成初の本物のアイドルと言ってもいいかもしれない。


実際、松浦の1st.アルバムを聴いた時は「おぉぉぉぉ!!!」と思った。
これは本物だ!!と確信した。つんく氏もZETIMAも本気だ、と信じていた。
が、どうも後が続かない。T.W.Oを聴いた時は心底ガッカリした(好きは好きなんだけど…)。
シングルも、短期的な戦略だけが見え隠れして、長いストーリーが見えてこない。キャッチーならそれでいいの?


商業音楽産業自体がそういう時代、という便利な言い訳もあるかもしれない。
でも、もっと本気で一人のトップアイドルを作り育て上げていって欲しいんだよね、今だからこそ。
たぶんつんく氏だけが頑張ってもダメで、周りの関わるすべての人が頑張らないと成り立たないと思う。
でも、松浦はそれに応えられるだけの器だと思う。
UFAも、藤本を育てるのをやめた代償としても、是非とも松浦に心血を注いでほしい。
モーニング娘。なんてもうこのまま下り坂で消化試合を続けるだけなんだし…。
中長期的に見た戦略を再考してもらいたい。


そんなことを想いながら、明日、松浦亜弥・秋コンサートの初日を迎える。