「携帯電話端末の交換等に伴う有料コンテンツ引継ぎのトラブルについて」について

結論の前半はいいとしよう。以下、後半部分の引用

(2) 小委員会の結論
…略…
しかし、このことはコンテンツが失われてしまうことについての携帯電話会社の金銭賠償の責任を免れしめるものではない。このような結果は、瑕疵ある携帯電話端末を供給した携帯電話会社の債務不履行によって引き起こされたものであるし、消費者が携帯電話端末に取得したコンテンツを失わせることについて不法行為責任が成立するともいえるからである。従って、携帯電話会社は、消費者が取得したコンテンツが引継がれないことによる損害を賠償する責任がある。なお、携帯電話会社は契約約款により、この責任を否定しているが、消費者契約法に抵触し、当該免責条項は無効と考えられる。

技術的、契約的に難しいし、それをクリアするためのコスト負担が消費者に回ること(正確には、ユーザコストが高くなってビジネスにならなくなる可能性)を懸念し、現状の提供形態で満足してもらうよう契約約款を定めているのであって、それを、消費者契約法に抵触する、と言い切る国民生活センターは大きく的を外している。


もちろんキャリア側としては、この決定を逆手にとって、コンテンツ引継ぎを可能にして新機種販促につなげるのもありだろう(移動機変更時にキャリア変更をされるリスクも減るしね)。ただ、その引継ぎを可能にするために掛かる開発・運用費用は当たり前ながら我々利用者側に乗ってくる。利用者に転嫁すること自体は営利企業として正当な行為だと思うが、結局我々消費者は、あまり必要としないかもしれない機能のために薄く長くキャリアにお金を払うことになる。これが本当に望まれる結論だろうか。きっと違うと思う。


国民生活センターには、目先の正義感が結果的に消費者をじんわりと不幸にする可能性についてまでを視野に入れて、真剣に検討してもらいたいところ。対応する側は慈善事業じゃないんだよ。